AMD(米国のチップメーカー)は、フィンランドのAIスタートアップ企業Silo AIを6億6500万ドルで買収すると発表しました。この取引は、ヨーロッパで最大規模の同種の買収の一つであり、AMDのAIサービスを強化し、市場のリーダーであるNvidiaに対抗することを目的としています。
取引の詳細
カリフォルニアに本社を置くAMDは、Silo AIの300人のチームを通じて、独自のソフトウェアツールを利用してカスタマイズされた大規模言語モデル(LLM)を構築する予定です。これらのモデルは、OpenAIのChatGPTやGoogleのGeminiなどのチャットボットを支える基盤です。この全現金取引は、規制当局の承認を得た上で、今年後半に完了する予定です。
取引の背景
この取引は、2014年にGoogleが約4億ポンドで英国のDeepMindを買収して以来、ヨーロッパで最大の非公開AIスタートアップ企業の買収です。シリコンバレーの企業の買収行為は、ブリュッセルおよび英国の規制当局による厳格な審査を受けています。今年は、欧州の複数のAIスタートアップ企業が数億ドルを調達しており、米国のOpenAIやAnthropicに対抗することを目指しています。
Silo AIの位置づけ
ヘルシンキに本社を置くSilo AIは、ヨーロッパで最大のプライベートAIラボの一つであり、カスタマイズされたAIモデルとプラットフォームを提供しています。Silo AIは、無料で使用でき、誰でもカスタマイズ可能な「オープンソース」AIモデルに注力しており、これによりOpenAIやGoogleとは異なるアプローチを取っています。
AMDの戦略
AMDのAI技術は、主要な市場シェアを占めるNvidiaに対抗することを目的としています。今年、テクノロジー企業が最大規模のAIモデルをサポートする計算インフラを構築する中で、Nvidiaの成功により、その評価額は3兆ドルを超えました。一方、AMDはMI300チップを通じてNvidiaの「Hopper」チップシリーズに直接挑戦しています。
将来の展望
Silo AIの共同創設者兼CEOであるPeter Sarlinは、この買収がフィンランドの企業が「フラッグシップ」AI企業になるための「論理的な次のステップ」であると述べています。この取引は、AMDが自社製品を通じて顧客の関与を促進し、ビジネスを迅速に拡大することを示しています。
ソフトウェアは、半導体企業が顧客を自社のハードウェアにロックインし、チップ販売サイクルの変動を超えてより予測可能な収益を生成するための新しい戦場となっています。Nvidiaは、より広範なアプリケーションを実行できるようにする独自ソフトウェアCudaに数十億ドルを投資することで、AI市場での成功を収めています。
今回の買収を通じて、AMDは顧客との接触と展開を加速させ、自社のAI技術スタックを強化し、Nvidiaとのギャップを徐々に縮小していくことを目指しています。
オリジナル記事、著者:AIの番人,転載の際には、出典を明記してください:https://nipponai.jp/article/amd-silo-ai-nvidia/